広東ゴルファー日記

香港とゴルフが好きな医学生投資家が毎日のことをつらつらと書く日記です。

【医学】病理医と法医学者とはどういう職業なのか

こんばんは。広東ゴルファーです。

 

色々な偶然が重なり今、病理診断の練習をしています。病理診断と言ってわかる人は医療関係者かフラジャイルファンですね(確信)。まあ普通は知りませんよね。

 

昨今、ドクターxやアンナチュラル、フラジャイルなど医療をテーマにしたドラマや漫画が多いですね。一昔前も医龍Dr.コトー、あとは最上の命医などのドラマが放送されていましたね。

 

ただ、すこし違うのはそれらに描かれているのは一般の方がイメージしやすい医師像ですが、フラジャイルやアンナチュラルには病理医学、法医学といった病院の外来に行って身にする機会はほとんどない分野が描かれているということです。

 

では病理、法医とはどういったものなのでしょうか?少しだけ簡単に説明しますね。

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法医学者の仕事

とりあえずyoutubeに動画があったのでどうぞ!


金曜ドラマ アンナチュラル【ダイジェスト映像】

 

法医学者という職業があります。法医学者とは自然死ではない死の原因を追究する人たちです。自然死ではないというのは、例えば自殺、他殺、溺死、焼死などですね。交通事故死なども該当します。これらをまとめて異常死と言います。

 

異常死体については検死が行われます。検死というのは「検視、検案、解剖」の3つを兼ねた言葉です。まず、警察官による現場の検証や事情聴取、続いて医師による死因究明のための検死(外表面を主に見ます)。検案でも死因の断定が難しい場合は解剖が行われることになります。

 

この最後の過程の「解剖」を行うのが法医学者の仕事です。検案については一般の医師が行っています。

 

あまり知られていないことなのですが、持病と関係なく亡くなった場合(例えば餅を喉に詰まらせて窒息した場合)は医師は死亡診断書を書きません。書くのは死体検案書というものです。まあ同じ紙に題名の選択欄があるので書くのは同じ紙なのですが、死体を調べました、という証明書を作るわけです。これが検案です。

 

その死に事件性があれば、例えば無理やり餅を食べさせられた痕跡がある場合などは事件性が認定されて、警察の捜査対象となる場合が多いです。そして実際に刑事告訴が行われた場合や、裁判所によって必要性が認められた場合は法医解剖を行って死因究明を行うことになります。このとき遺族に拒否権はありません。

 

このように、異常な死を究明するために働く方々が法医学者というわけです。基本的に死体を扱うので一般の患者さんと関わることはありません。

 病理医の仕事

フラジャイルもありました!


原作 草水敏/漫画 恵三朗『フラジャイル』PV

では、病理医はどんな職業なのでしょうか。実は病理医も一般の患者さんと顔を合わせることはめったにありません。

 

病理医の仕事は、患者さんから得られた組織像を見て、病名や病気の進行度を特定することです。実際の患者さんの症状を見て診断している外来の先生と組織像から見ている病理医とで診断を決定しています。しばしばdoctor's doctorすなわち医師の医師と呼ばれることもあります。

 

なので病理医は患者さんとは顔を合わせず、患者さんの体の組織を見る場合がほとんどです。また法医学者と同じように解剖をすることがあります。こちらは遺族に拒否権がない法医解剖と違って遺族が拒否可能な病理解剖です。

 

病理解剖というのは異常死ではないものの、なぜ治療がうまくいかなかったのかや、死因が何なのかを特定する解剖でいわば今後の医学のための解剖です。あくまでも医師側が勉強させてもらうというわけですので、拒否が可能になっています。

 

ただ、病理解剖というのは行うことでどこからか金銭がもらえるわけではないので年々件数は減ってきているようです。世の中の大病院はほとんどが経営難だと言われているので仕方が無いのかもしれませんが勉強できる機会が失われてしまっているのは残念なことです。

 

直接の関係は無いのですが、医学という学問の特性上「人の死から発展する」という性質が否定できないのはなかなか苦しいものがあるなぁと思いました。

 

そういえばリーガルハイにそんな話があったかもしれません、思わず泣いてしまったのを覚えています。こうした知識を踏まえたうえでアンナチュラルやフラジャイルを一度ご覧になってみるとまた違った面白さを感じられるかもしれません。

 

ありがとうございました~