【医学】話題の新薬ゾフルーザはもう使えない後編
こんばんは。広東ゴルファーです。
この記事の内容は前回の記事の後半パートとなっていますのでインフルエンザウイルスと溶連菌の違いがわからない人はまずは前編から見ていただけるとスムーズだと思われます。
cantonesegolfer.hatenablog.com
はい、ということで前半部分ではウイルスと細菌の違い、ワクチンの効果とメカニズムについて書かせていただきました。
後半パートからは「インフルエンザの治療」や「インフルエンザに出す薬」の話とメインパート「ゾフルーザ」について書いていきます。では!
1、インフルエンザの治療方針
まず、基本的にインフルエンザの治療の選択肢は「安静指示」「抗ウイルス薬処方」のどちらかです。ただ、患者さんの希望が無ければ多くの病院では「抗ウイルス薬処方」を選択されています。とくに個人で開業しているクリニックですと採算面上の理由もあると思います。
さて、ではこの抗ウイルス薬処方にはどんな効果があるのでしょうか。結論だけ先に述べてしまいますと、24時間くらい症状が短くなる・重症化を防ぐの2本立てです。
24時間の症状短縮
こちらに関して医学論文に基づいた詳細な解説をしてくださっている方がいますのでご参照ください。
個人的意見ですが、Dr.KID先生のお話は論文に基づいた内容ですし、しっかりと精査してご意見を述べてくださっているので非常に勉強になります。
薬の種類による効果の違いはこの研究では認められなかったんですね。勉強になります。
重症化を防ぐ
重症化、という言葉を使っていますが「合併症」と言うほうが正しいかもしれません。インフルエンザ患者においては特に高齢者や小児など免疫の弱っている方で合併症が起きることがあります。
インフルエンザに関連して別の病気を発症してしまう、ということです。
有名な合併症としては「中耳炎」や「インフルエンザ脳炎」があります。それらを防止する目的で症状が出る前からタミフルの予防的投与、という選択肢もあります。
しかしながら免疫の弱っていない者、つまり僕のように普段普通に生活している成人、青少年については抗インフルエンザ薬を投与する必要性が低いと言われています。もちろん症状は24時間程度短くなるのでその目的での使用もいいかもしれませんが。
そんな理由からわざわざ投薬治療をしなくても良いのでは?と、安静を勧めるお医者さんもいます。個人的には24時間くらい我慢できるなら出さなくてもいいかなと思います。投与するタイミングがわりとシビアですし。
2、インフルエンザに出す薬
既存薬
インフルエンザに処方される薬は複数の種類があります。↑のKID先生の記事にもありましたが「タミフル」「リレンザ」「イナビル」とかですね。
今述べた3つは種類として、難しい話になりますが「ノイラミニダーゼ阻害薬」に分類されます。ノイラミニダーゼの話まですると文字数が大量にかさんでしまいますので解説してくれているリンクを貼りますね。
てか、ここまでの内容は↑の記事の方が良くまとまっているのでは?(泣)
いや、この先の話はまだ載っていないはず!
ゾフルーザ
塩野義製薬より販売されていますゾフルーザですが、そのセールス文句は「一回の服用でOK!飲み忘れの心配がないよ!」ということでした。
事実タミフルやリレンザは決められた時間に何回服用、という形で決まっているので飲み忘れてしまう方がいたわけです。その問題点を解決したぞ、ということですね。ゾフルーザ自体は「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤」というものに分類されます。
1回の投薬でいいというのは画期的です。また、ウイルス排出時間を短縮化するということでした。しかしながら試験において1割のウイルスが耐性化することが報告されていました。しかし、新しいお薬、ということで全国の病院で大量に処方されました。
するとどうなったか、耐性ウイルスができてしまいました。いまでは7割が耐性化したようです。あちゃー。
まあ30人中という母数の少なさですが、他の既存薬を処方した方が良いなと思います。耐性ウイルスに出すだけ無駄ですからね。
このゾフルーザ、インフルエンザ重症者に対して既存薬より優れた効果を発揮すると言われていたため切り札的使い方ができるかも?と考えていましたがこれでは厳しいですね。そんなわけでこれから処方される皆さんはゾフルーザを拒否してタミフルやリレンザにした方が良いと思います。もちろん医師の方にご相談ください。
最後ですが、切り札を使いすぎるとこうなるよ、というくだりは抗菌薬のバンコマイシンのあたりでもあったなぁと思いました。もったいない。